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Espionage

日本ではじめての本格的なレヴューは、やはりというか宝塚歌劇団(当時は少女歌劇団)による、モン・パリだそうです。
この人気を受けて、浅草等では、廃れていたオペラの代わりにレヴュー劇団が大量に産まれ、消費されたようです。
軍服美人については、昭和14年に桑野通子さんの陸海軍服姿のブロマイドが検閲により発禁となっている事実があります。
それでは皆さん、スミレの花咲く頃♪ ……って、グランドフィナーレに持って行ってどうする(w
よろしければお楽しみください。

2007年宝塚歌劇全主題歌集Music2007年宝塚歌劇全主題歌集

アーティスト:宝塚歌劇団,彩吹真央,水夏希,瀬奈じゅん,霧矢大夢,春野寿美礼,矢代鴻,安蘭けい,白羽ゆり,柚希礼音,大和悠河
販売元:宝塚クリエイティブアーツ
発売日:2008/04/09
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「まさか…… 謎《エニグマ》ですか」
「そう、ドイツの誇るローター式暗号機《エニグマ》の、まさに現物……と言いたいが、それよりももっと恐ろしいものだ」
「もっと恐ろしいものですか。暗号機にとってもっとも恐ろしいものというと」
「英国人は、これを容器《ボンベ》と呼んでいるそうだ。戦車を密閉容器《タンク》と呼んだようなもんだろう。
 このボンベを使用すれば、エニグマだけでなく、九七式欧文印字機でも可能だそうだ」
 辻は、恐ろしい一言を告げるとともに、資料から取り出し写真を指先でとんと叩いた。
「馬鹿な、アレは……」
「釜賀大尉が解読して見せたな、確か」
 その噂を聞いたことがある不知火は、押し黙るしかない。最強暗号機と呼ばれる事もある暗号機B型だが、その一方で陸軍での評価は意外と低い。これは、機械式全般そのものをさほど信頼していないという事がある。国力も考えずに、無限式乱数《ワンタイムパッド》を採用しているほどだ。
「そんなものが、一体」
「くれてやっても良い、そう言ってきたのだよ。胡散臭い、いや、恐ろしく気前の良い事に」
「まったく信じがたい話ですね」
 ああ、まったくだと肯くと、辻は手を口の前でくんで押し黙った。
 一体、何だというのだ、この沈黙は。だんだんと息苦しくさえなってくる。その圧迫感に耐えかね、不知火はついに「条件をお教えください」と言葉を吐き出した。
 当然の如く、辻の顔に作られた笑みが広がっていく。
「何、大したことでない。まあ、それなりの情報を与えてやろうというだけの事だよ」
「それなりの情報、ですか」
「例えば、米国に亡命した元東北帝國大学教授の理論を実践する方法とか」
「なるほど、原子反応ですか」
「ドイツ人が成功して以来、兵器としての可能性は高まっているからな。まあ、黙っているが英国紳士達がやらないはずは無い。
 それに、それ以外の情報も色々あることだしな」
 ようやく話が繋がった。なるほど、軽々しく扱える情報でないと言うことか。外務省なんぞに任せられる様な話でなくなっている。
「なるほど。それで私ですか」
「ああ。まあ、君が最適化というと……」と辻は不知火の姿を意地の悪い視線で眺めると「はっきり言って疑問なのだがね」と続けた。
 不知火は、再び唇を強く噛みしめる。
「だが、残念ながらさける人員が居ない。明石の子供達《レジェンド》とはいかずともそれなりの地位のものは、この間の軍艦大破事件に関わっていて手が離せない状況だ。無論、君を除いてと言うことだが」
 辻は椅子から立ち上がると、不知火の方に近寄っていく。何か、再びいやな予感がする。ここから逃げたいという本能的な欲求に、不知火は耐えようと努める。
「そんなに堅くならずとも良い。ただ、今回の任務は正規ではないとはいえ外交的な部分が大きい。従って」
 辻はそこまで言うと、最新式の内線電話を手にし、金子を呼び出した。
 ノックと同時に、金子が扉をあけて入ってくる。そして、辻が軽く合図するのと同時に不知火の手を取って立ち上がらせる。
「まあ、早い話がそんな服《第二種軍服》でなく、きちんとした服を着てもらう必要があるという事だよ」
 なんて事だ、これが本当の目的だったのか。不知火は金子の手を振り払い、拒否の意を込めてあらがった。軍属とはいえ軍人でなく、更に女性である金子に対し暴力を振るうことは躊躇われるが、最低限の力でふりほどく程度なら問題ないだろうと自分自身に言い聞かせる。
「見苦しいぞ、不知火中尉。何時まで、そんな男装姿《なり》をしているつもりだ」
「男装も何も、私は日本男児です。百歩譲って男装だとしても、婦人の軍属採用や警官採用で現在では軍服女性は珍しくありません」
「軽喜劇女優《レビューガール》や肖像写真《ブロマイド》の再許可が下りたそうだな。最近は、規制緩和されてきておるようだから」
「レビューガールの軍装姿は昭五式です」
「では最新式の婦人用軍服なら問題あるまい」
 最後のあがきとも言える不知火の言葉を封じ込めると、金子に軽く手を振った。
 背後で、何故か日本では紹介されていないはずのショロム・セクンダ作曲による曲が流れたような機がするのは、多分気のせいだろう……


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